倫敦橋からの風景

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ヴィンセバ高校生物語2

ヴィンセバ連載小説(現代パラレル設定)




ヴィンセバ高校生物語


EP 02

セバスチャンは帰宅してからも、ヴィンセントからの告白に
ずっと頭の中を占領されていた。夕食時も、入浴時も、
自室で課題をやり始めても。

どう答えていいものやら、ちっとも決められないまま課題の
レポートも大して進まなかった。日付が変わってしまい、仕方なく就寝する。
もう、これ以上考えるのはよそう。あくびでもしてる顔など見られたら、
嘲笑ものだ。そんな半ば意地でセバスチャンは眠りについた。

翌朝、いつも通り家を出て、センター街のバス停へ向かう。
朝からいきなり会ったら嫌だな・・・と、気構える。だかバス停には
ヴィンセントの姿はなかった。今までの3年間に会った事は殆ど
なかったなと思い出す。

学校に到着し、クラスに入るとやはりまだヴィンセントは来ていなかった。
15分ほど経ってようやく現れたヴィンセントは、まっすぐセバスチャンの
近くまで来て、おはようと声をかけた。おはようございます、とだけどうにか
返して、すぐヴィンセントからの視線を避けて俯いてしまった。が、
今の態度は良くなかったかな、ともう一度、ヴィンセントに顔を上げると
すぐ目線があってしまった。ヴィンセントは微かに笑うと、そのまま何も
言わず自分の席に移動していった。

放課後まではさすがに聞いてこないだろうな、とは思っていても
休み時間になると、どうしてもヴィンセントに視線を向けてしまった。
そうすると必ず目が合ってしまい、その度にクスッと笑われてしまう。
笑われて視線を逸らすと、また笑われた。

休み時間や移動の度に同じ事を繰り返してしまい、やっぱりこれは
冗談なんだろうなと、だんだん思えてきて、帰る時に話せばいいと思った。
軽くかわして、友達として付き合えばいい、せっかく知り合ったのだから。
そう決めると少し心が軽くなり、やたらとヴィンセントを目で追いかけるくせは
ようやくやんだ。もうすでに最後の授業前だったわけだが。

授業が終わり、案の定ヴィンセントはセバスチャンの元へやって来た。
「一緒に帰ろうよ」
ヴィンセントはいつもの穏やかな笑みを浮かべてセバスチャンを誘う。
「いいですよ」
この帰り道にどうせ言わねばならないと分かっていたので、素直に乗る。
放課後すぐの通学バスは慌てず乗れて、2人は昨日と同じように2階席へ登る。
先に登ったヴィンセントが、さっさと空席を見つけて窓際へ座る。
セバスチャンを促して隣に座らせた。一斉に生徒が帰る時間帯なので
バスはあっという間に満席になり、隣に座る以外、選択肢はない。

「今日はスタバじゃなくてコスタに行かない?」
ヴィンセントがバスが発車すると、そう言い出した。
「いいですよ。2日連続になってしまうし」
「昨日の詩集はもう読んだの?」
「いいえ、昨日はレポート書いてて時間なかったからまだ」
そのレポートすら進まなかったのだが、その原因の男には
覚られたくなかった。
「そうなんだ。おもしろいからすぐ読むといいよ」
「読んだ事あるんですか?」
だから、色々きいてきたのか。それで、笑ったりカマかけてきたり。
「あの辺のは、ひと通りは読んだと思うよ」
「じゃあ今日時間できれば読んでみますよ」
「知ってる?うちの学校の教育目標みたいなやつ」
「何のですか?」
「セックス、ドラッグ&ロックンロールに憧れる気持ちをおさえましょう、
みたいな笑っちゃうやつ」
「そんなものあったんですか」
「この学校の教育指針書に載ってるよ、HPでも見れるし」
「知らなかった」
「それなのに、そんなセックスもドラッグもロックンロールも
てんこ盛りなそんな詩集、図書室に置いてあるなんてね」
「反目材料的に置いてあったとか」
「どうせ内容は確認しないで寄贈されたもの置いたのかもね」
「まぁ道理で他のシリーズはないと思いましたけどね」
そう、こんな感じで普通に喋れる友達付き合いをすればいい。
ヴィンセントもそんな風に見える。・・・気はする。

やがてバスが終点のセンター街に到着し、2人は降りる。
「ショッピングセンターの方のコスタにしようか。
そっちの本屋の中の方じゃ狭いからさ」
「いいですよ」
バス停から1本細い道を入るとショッピングセンターの入り口があり、
地階にあるコスタに入る。スタバに比べると比較的いつも空いているので
2人は奥のソファー席を確保できた。この日は2人で並んでそれぞれ
注文した。大きなグラスに入ったクリーム入りのラテをこぼさないように
ヴィンセントが先にソファに座り、セバスチャンを隣に座るように手招いた。

対面じゃなくて隣・・・。まぁいいか、とセバスチャンも白くぽってりと大きい
カップに入ったカプチーノをそっとテーブルに置いて、隣に腰掛けた。
「やっぱりここはいつ来ても空いてるからいいね」
ヴィンセントは溢れそうなカップのクリームをすくうようにひと口すすって
背もたれに寄りかかる。
「そうですね、こちらにはあまり来ないですからね」
「俺はやっぱりスタバの方が味が好き」
「ああ、砂糖抜きのラテだったらこっちでも別に美味いですよ」
「ひと口飲ませて」
ヴィンセントはまたセバスチャンのカップを取って、ひと口飲んでしまった。
このまま、すぐ返事はした方がいいのだろうか、それとも何も言わないで
過ごしてしまっても構わないんだろうか。セバスチャンは、ヴィンセントが
どう話してくるのか待つことにした。

「ねぇ、昨日の話だけど」
しかしヴィンセントは、すぐに切り出してきた。
セバスチャンは黙っている。
「どう返事するか困っちゃった?」
・・・本当にまた答え辛い聞き方をしてくる。
「ええ、まぁ・・・」
「でも、こうしてまた俺と一緒にいるって事は少なくとも嫌ではない訳だ」
「それはそうです、貴方が嫌ならもう一緒に帰るのも断っていますよ」
「ははっ じゃあ脈はあるわけだ」
「脈って・・・、私は普通に貴方と友達付き合いしたいと思ってますよ」
・・・言ってしまったが、ヴィンセントはどう出るだろうか?

ヴィンセントは視線を端から端へ、店内を確認すると、セバスチャンの方へ
体をむけた。左手を伸ばしてセバスチャンの頬にあて、横の髪をかきあげ
そっと自分の顔を近付けて頬にキスしてきた。唇が軽く頬にあたって、
すぐそれは離れた。ヴィンセントは上目遣いに笑ってたずねる。
「どう?今のは嫌だった?」
「いえ、別に・・・挨拶だと思えばなんとも」
挨拶のキスでわざわざ頬に手はあててこないが、普通に挨拶の
範疇なので気にはならない。

ヴィンセントはもう一度、店内をチラッと確認するとまた同じように頬に手を
あてて、今度は先ほどより長く、頬にしっかり唇をあててキスした。
頬からヴィンセントの肌のぬくもり、息の生温かさが伝わってくる。
セバスチャンの思考も体もじんわりと痺れて動かない。

ヴィンセントはようやく唇を離して、セバスチャンを優しく見つめる。
「今のは、嫌だった?」
次の展開がどうなるか不安になりつつも、正直に答える。
「いえ・・・決して嫌では、ないですが・・・」
そう言うと、ヴィンセントは嬉しそうに笑って、グラスのラテを口にする。
「だからさ、一緒に帰って、こうしてお茶したり、週末はクラブに出かけたりさ。
一緒に宿題したりさ。そういう事と同じだよ。俺はこうして少しだけ
君に触れたいと思うけど。だめ?」
「・・・だめ、ではないですが」
セバスチャンは無意識に答えてしまった。それから我に返って何を言って
しまったんだと後悔した。だが、ヴィンセントのその美しい顔が嬉しそうに
微笑んでいるのを見ると、それ以上の否定の言葉は出てこなかった。

「じゃあこれからよろしく、セバスチャン」
ヴィンセントがにやりと笑って言い出すので、急に気恥ずかしくなる。
本当にこれから付き合うのか?
そう、どうしても嫌な時は、ハッキリ言えばいい。
なぜ自分の事がそんなに? と、聞きたい気もしたが、ヴィンセントを
余計に煽ってしまうような、また恥ずかしい事を言われても困ると思って黙った。

何も言わないセバスチャンを見て、ヴィンセントは自分のラテにかろうじてまだ
溶けずに残っているクリームを長い柄のスプーンですくいとって、それを
セバスチャンの口に運んで含ませた。乾いた口に淡くほんのりと甘さが広がって
すぐに溶けていった。
「甘い・・・」
「俺の好きな味」
「私の好きなのはこっちです」
セバスチャンが自分のカプチーノのカップをヴィンセントに皿ごと渡す。
「苦い」
ヴィンセントはそれでもふた口ばかり、ごくりと飲み込む。
「貴方は、そう言って私の飲み物すぐ飲むのだから」
「君が好きな味を知りたいから」
「貴方って・・・」
そう言いかけて、それ以上はヴィンセントを見られず視線をそらす。
ヴィンセントが笑って顔を覗きこんでくた。
「俺が、なに?」
「・・・なんでもないです」
「言ってよ」
そういう優しい顔と声でストレートに言いすぎです。と、心の中でつぶやいて
セバスチャンは残りのカプチーノを半分ほどまでごくごくと飲んだ。
ヴィンセントも真似してラテを飲みだした。

2人が飲み終えて、ヴィンセントがもう一度セバスチャンの首筋に手を伸ばして
顔を引き寄せて頬にキスをした。
2回目のキスよりもまた少し長く唇が触れている。
「誰かに見られますよ・・・」
この白いブレザーの制服は濃い紫色のベロアのソファにただでさえ映えて
目立ってしまうというのに、男同士がキスしてるなんて。
「誰もまわりにいないの確認したから平気」
「これがしたくて、ここに座ったんでしょう、貴方」
じろりと睨むと、また脱力しそうなほど柔らかい笑顔になっていた。
「いいじゃない」
「もう出ましょうか、今日はもう帰らないと。やる事が多いんです」
「ああ、昨日は俺の事ずっと考えてしまったから?」
本当にこの人はどうしてすぐそう言ってしまうのだろう。
「うぬぼれてますね」
ヴィンセントは少しだけ笑って立ち上がり、空になったグラスを
カウンターに戻した。セバスチャンも同じくカップを戻して2人は店を出た。

それからショッピングセンターを出て、バス通りまで並んで歩いた。
ヴィンセントはずっと口元が笑っていた。普通の友達付き合いをしようと
思っていた自分の気持ちがすっかりヴィンセントのペースに巻き込まれて
しまっている。この笑顔のせいで、なんだか今日は思ってもない展開に
なっていると、短いため息がこぼれた。
「じゃあまた明日ね、セバスチャン」
「ええ、また明日、ヴィンセント」
「名前呼ばれると気持ちいいね」
ヴィンセントが軽く手を振って、また北の方へ歩いていった。

・・・同じことを感じてしまったとヴィンセントに伝えたらまたいい笑顔を
するのだろうな、とセバスチャンも家路へ急ぐ。



(続く)

→ ヴィンセバ高校生物語3話

← 高校生ヴィンセバ物語1話


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