倫敦橋からの風景

英国在住の黒執事ファンによるサイト。 英国ならではのコンテンツあります。

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Lush Deal 1

ヴィンセントxセバスチャンxシエル的なテキストでございます。
ブログ用なので過激な描写はしておりませんので、こんなのも
ありかな~くらいの軽い気持ちで読んでいただければ幸いです♪
パパは普通に存命で坊ちゃんも13歳という設定でございます。
なるべく間隔をあけずに更新したいと思いますが気長にお待ち下さい。。。


Lush Deal 1

vin03a_20110720024712.jpg


「旦那様、新しい使用人を連れて参りました」
タナカはヴィンセントの執務室のドアをノックし男を連れて入室した。
「ん・・・どれ・・・」ヴィンセントは顔はまだ書類に向けたまま答える。
タナカの背後にいた男はテーブルの前に立ち、頭を下げ礼をする。
男の気配を感じヴィンセントはゆっくり顔を上げ男を見据える。
「ふうん。名前は?」
「セバスチャン・ミカエリスと申します。本日よりご子息様の執事として
仕えさせていただきます」
「ああ、シエルのね。よろしく頼むよ」
穏やかな笑顔でセバスチャンを見つめるが、その青い瞳は鋭くセバスチャンの
瞳に突き刺さる。まっすぐ見つめられたまま、微かに口角を上げ
ヴィンセントの視線を受け入れる。
「下がっていいよ。タナカ、あとは頼むよ」再び視線を書類に落とす。
2人は退室した後、ヴィンセントは呟く。「なんだあれ?」


「セバスチャン、執事の経験は初めてですかな?」
タナカは茶葉と茶器を用意しながらおもむろに尋ねる。
「はい、そうです。実は初めてでして。ご教授願いますか?」
「ほっほっほ・・・。坊ちゃんも旦那様も味には厳しいお方ですからね。
この通りするのですよ」そうして鮮やかな手際でたちまち
最良の状態の紅茶を淹れる姿をセバスチャンは凝視した。
その後、一つも段取りを間違える事無く模倣してみせた。
「これでいかがでしょう?」
「では実際味わっていただきましょう」
セバスチャンはまず自分の主人の部屋へ向かう。
手際よく紅茶を淹れるセバスチャンをじっと見つめながら問う。
「お父様へ挨拶はしたのか?」
「はい、先ほどタナカさんとお伺いいたしました」
「何か言っていたか?」
「坊ちゃんをよろしく頼むと申されましたよ」
「そうか・・・」淹れたての紅茶を口にする。
「ん・・・。まぁまぁだな。お前、スイーツも作れるのか?」
「いえ・・・。ですが執事はスイーツも作るのがお役目でしたかね」
「フン。この家ではそうだ。なにしろ使えない料理人しかいないからな。
お前が全部これから作るんだ。いいな?」
「やれやれ・・・、ずい分こき使われそうですね」
大げさに眉をしかめ、ため息をつくセバスチャンにシエルはすぐさま返す。
「いいか?決して他の者に悟られるなよ?特にお父様には…
お父様はもの凄く勘がいいんだ。もし正体がばれたら何されるか・・・」
「それはそれは…。気をつけると致しますよ」
すでに何かを気取ったかのようなヴィンセントの視線を反芻する。
ほどなくヴィンセントの執務室からの呼び鈴の音を感知したセバスチャンは
再びお茶の用意をして部屋へ向かって行った。

「遅い」
ヴィンセントの執務室に入った途端、機嫌の悪い低い声で呟かれた。
「申し訳ございません。すぐお入れ致します」
チラとその手際を見届け、つつがなく淹れられた紅茶を口にする。
「・・・まずい」
「?・・・淹れ方に間違いはないはずでしたが」
意外な反応でとっさに手順を確認したが問題はないはずだった。
「まずいものはまずい。なにこれ。これで良いと思ったわけ?」
「・・・何がいけなかったのでしょうか?坊ちゃんには何も言われませんでしたが」
「あの子は優しいんだよ、勘違いするなよ?次またまずい紅茶淹れたら
ただじゃおかないよ?何がいけないのかよく考えておくんだね」
青く暗い瞳のきつい視線で見据えられ、セバスチャンは何も言えないでいた。
キッチンに戻り、先ほど淹れた紅茶を試しに飲んでみた。
「・・・やはり私にはこんな味の違いなど分かりませんね。まぁ、いいですよ。
何も言わせませんよ、次は」

「まずい。見た目だけよくて味が何もしないじゃないか」
「確かにこれは酷いな。勉強し直しなさい」
その日の晩餐の時にもセバスチャンはこの親子に言われ放題であった。
長い悪魔の生で、これほど人間に酷い扱いを受けた事はなかった。
その能力と魅力に追いすがるのはいつも人間の方。
だが、そればかりでは退屈。
小さな体で強い力を秘める瞳に吸い込まれる様に契約を持ちかけたのは悪魔の方。
悪魔が下僕。悪趣味な契約。
今までに無い経験を得るのは良い退屈しのぎになるものだった。
(ここまで言われるとは思いませんでしたがね。)

要は素材の味を覚えて継ぎ足せば良いわけです。
セバスチャンはその舌で次々と食材を舐めては記憶していく。
データを刻み込み、レシピ本になぞらえる。
そうして出来た人間の餌は確かに美味になっていった。


「相変わらずまずいね、君の料理は。」
坊ちゃんは何も言わず残さず食べるのに対し、この父親はいつまでたっても
同じことを言う。
「君は料理の本質が分かっていないんだね?
やっぱり君には難しい事なのかな?」
一瞬、正体を見透かされたようで息をのみ体勢を整える。
「理由が知りたい?」
「ええ、そうですね」
ニヤリと笑ってヴィンセントは答える。
「聞かないと分からないから、料理がまずいんだよ。
それ位、分からないの君には?」
「明日の晩餐にはご期待に添えるよう努力いたしますよ」
「そう?頼むよ」
ヴィンセントは変わらぬ笑顔のまま、さも期待していない口調で答える。
「もういい加減、まともな食事がしたいものだよ」
赤ワインを口にふくみ、ナプキンで口を拭ってヴィンセントは
タナカに次の指示を渡し始めた。
シエルは、決してまずいと思わなかった料理を黙々と口にしていった。
(父はセバスチャンの事が気に入らないようだな・・・)

退室したセバスチャンは足早に廊下を歩く。
ざらついた神経を落ち着かせるように浅いため息をついた。
・・・足りてないものは分かっておりますよ。
あえて入れて無かっただけですけどね。
本当に人間は面倒くさい味がお好きだ・・・。
セバスチャンは再び小さくため息をつき裏庭へ向かった。
黒猫の彼女を優しく撫でる。
「貴女は何も言わなくて本当に良かった」
「さて坊ちゃんの入浴のお世話をしなければ」

セバスチャンはバスタブにつかる主の白く細い腕を優しく
泡でなでながら、やがて華奢な指先を捕らえ己の指を絡める。
「坊ちゃん・・・」シエルの耳元で低く囁いた。
いつになく頼りなげな囁きにシエルは少し驚き、思わず
セバスチャンの指先をぎゅっと握り返した。
「なんだ?」
「今晩は貴方をずっと眠らせたくないのです」
シエルの温かく上気した首筋をゆっくり下から赤い舌を這わせてゆく。
ぴくんと反応する可愛らしい肩と、シエルの鎖骨のくぼみにキスをした。


翌日の晩餐、ヴィンセントはニヤニヤしながら口にする。
今までになかった味わいをゆっくり噛みしめ、飲み込んだ。
セバスチャンのうっすら笑みを湛えたその顔を捉え、自分の許へ
来るように促した。そっと背後に立つセバスチャンのネクタイをぐっと掴み
自分の顔までその端正な顔を近づけ、耳元で囁いた。
「なんだ。しっかり入れられるんじゃないか」
「そうせよとのご命令でしたので」
「それはご苦労。明日からもこの調子で頼むよ」
そう言ってネクタイを離しセバスチャンを開放する。
無言でネクタイを直し、元の定位置に戻っていった。
「クッ・・・!ハハハ!」ヴィンセントは肩を揺らしながらこれみよがしに笑う。
視線をそらし微かに眉をしかめるセバスチャンの顔が余計に可笑しいと
言わんばかりにヴィンセントは声をこぼして笑い続けた。
そんな父の姿を見て、改めて料理の味を確かめた。
確かに、昨日とは違う。あいつが昨日まで入れなかったもの・・・、
そこまで考えてシエルまで吹き出してしまった。
(なんだ、愛情か。そんなもの悪魔がわざわざ込めて作るはずがない!)
まったくいけ好かない態度の親子にセバスチャンはただ表情を崩さず
白けていた。(そんなに愛に飢えた親子とはお可哀想に)


Lush Deal 1 END

(続く) Lush Deal 2



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