倫敦橋からの風景

英国在住の黒執事ファンによるサイト。 英国ならではのコンテンツあります。

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My sweet years 3

ヴィンセバ連載小説(R-18)




My Sweet years 3



本邸からロンドンのタウンハウスへ戻る馬車の中で私は尋ねた。
「貴方、ようやく私をこちらに連れて来て下さいましたね?」
「うん?」
私が彼の元で過ごすようになり、コッツウォルズの村へ行き。
その後の週末になって、彼はやっと本邸へ私を連れ立った。
「ああ、しばらくは君の様子見てからじゃあないと連れて行けなかったよ」
「信用ないですね」 
「悪魔を信用しろと?」
「私は嘘は付きませんよ?こうして貴方にずっと仕えているではありませんか」 
「そうだね。こちらにおいで、セバスチャン」
ヴィンセントは私を手招き、横に座らせた。すぐに唇を塞いできた。
「俺は君の事が気に入ったよ。すぐ追い出してやろうかとも思ったが」 
「酷いですね」
私は眉をしかめて短いため息をついた。すると彼の細い指が優しく眉をなぞり、
蒼い瞳が私をきつく捕らえた。

「そういえば最初の日、君は自分が飽きたら去るとか言っていたが。
それ、俺が君が嫌で追い出したければどうすればいい?」 
「私が貴方を嫌だと思えるように振舞えば、そのうち出て行くのではないのですか?」 
「ふん、俺に選択権はないのか」
「ないですね。私は悪魔ですから」 
「気に入らないな」 
「先ほど気に入ったと仰ったばかりですよ、貴方」
「気に入らないよ」
と彼はまた私にキスしてきた。彼の柔らかい唇が優しく私の唇を求めてくる。
出てくる言葉は素直なんだか、素直ではないのか。
人間の言葉と行動はいつも伴わない。

「それに、貴方、子供がいたとは」
「・・・ああ。」
ヴィンセントは目を伏せて、一瞬、その瞳が陰る。
「一緒に暮らさなくてよろしいのですか?」
「いいんだ」
「左様で」
今度は私からくちづけ致しましょう、舌を絡めて濃厚に。
眉を歪ませて、ああ、この話はしてはいけないようですね?

ヴィンセントはその晩から、私に一緒に寝るよう、言いつけてきました。
私に睡眠は必要ないですが、寝ろと言われれば側におりましょう。
貴方に抱かれて、寝息を聞きながら、私は貴方の明日を用意しよう。
貴方にくちづけして、抱きしめて、夢を見て。ねぇヴィンセント。


「セバスチャン、君は海は好きなの」
彼が朝の紅茶をすすりながら、独り言のように訊く。
「ええ、好きですよ」
「では、また旅の支度だよ、セバスチャン」
「どちらへ」
「君にきっとお似合いの海に」

ヴィクトリア駅から列車で2時間の南東の海辺の街に来た。
イーストボーン。
この街は穏やかに、静かに時が流れている。
8月の英国はまだ日差しが強かった。
強い海風に吹き飛ばされないように、ヴィンセントはストロー帽を
頭から押さえつけて歩いている。

私達は駅からそのまま海へ向かった。
海岸沿いに並んでいる店のひとつで、彼の昼食を調達した。
私は、包まれた新聞紙から出来たての熱が伝わる食料を抱え、
片手にトランクを携えて歩く。
ヴィンセントは相変わらず、片手で帽子を押さえたまま浜辺沿いの
遊歩道を東に歩いていく。


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途中の浜辺へ繋がる階段を降りて、今度は、摩擦で丸みを帯びた
小石だらけの浜辺を歩き出す。じゃりじゃりと音を立て、バランスを
時どき失いそうになりながら、彼は黙って進む。

ヴィンセントは、空のデッキチェアがひとつだけ置かれているのを
見つけた。緑と白のストライプのキャンバス地のデッキチェアに
早々と腰かける。それから腕を伸ばして、まだ温かい新聞紙の包みを
受け取った。

「貴方は、そのような物も食べるのですか?」
包みを開けると、揚げた油とモルトヴィネガーの匂いが潮風に乗って
嫌でも鼻についてくる。
「海辺の街のは、結構おいしいものだよ」
ヴィンセントは、鱈のフィッシュ&チップスを頬いっぱいにほおばる。
「もっと塩とヴィネガーふりかけてもよかったのに」
「そうですか?では次回からその様に致しましょう」

食べ終わった後は、ナプキンで口の周りに光る油を拭き取ってやる。
油と衣のカスでベタベタの右手も丹念に拭いてきれいにしてあげる。
それからトランクの中から炭酸水のボトルを取り出し、彼に渡す。
ゆっくりとボトルを傾けながら、ヴィンセントは深くデッキにもたれた。
帽子が落ちない角度を見つけて、被りなおし、蒼い瞳はつばの影で覆う。

思い出したように炭酸水を口に含んでは、彼はのんびりと海を眺めている。
私は、砂利の浜にそのまま、デッキの隣に腰を落とす。
「楽しいですか?」
ヴィンセントの白い麻のボトムスの上に私は手を置いた。
麻のしわを平らにするように、彼の太腿をゆっくりと撫でている。
「楽しいよ」
彼は撫でられたまま言葉を続ける。
「君と海を見ている。悪魔と。愉快じゃないか」
私は、さらに内股まで手を動かす。
「なにもしないで、こうして一緒に海を見て。
俺の記憶は、どんどん上書きされる。君の望み通りだろう?」
ヴィンセントの左手が私の手をつかんで、彼の股間へ落とす。
「白い崖っぷちに黒い悪魔。君がとても映えて見える。綺麗だよ」
私はヴィンセントの膨らみ出したそれを、そっと握る。

「舐めさせて?」
「ああ、君がそう言うだけでもうこんなだ」
麻のスラックスから取り出して、私は彼に覆い被さった。
根元から先端へゆっくりと舌を這わすと、彼とそれは、アァ、アァ、と
そり勃たせてくる。先端を丹念に舐めまわして、口の奥まで含んでやる。
「セバスチャン、もっと舐めて・・・っ」
要望に応えて、舌を上下に激しく這わす。歯をカリっと立ててやると、
短い吐息と共に甘い嬌声を上げる。
もっとその声を聞かせて、ヴィンセント。
先端から零れ出てくる彼の液体と、己の唾液ですっかり濡れて
滑らかに動く唇で、その陰茎を強くしごく。
ヴィンセントの指が私の髪を掻きむしって、ぐいぐいと喉まで突いてくる。
はぁはぁと喘ぎながら、私の名を呼ぶので最奥まで咥えこんでやると、
熱い液体が喉に流れ込んできた。

「ああ冷えるな、ここは」
精液やら唾液やら隅々まで舐めまわして、唇から抜き出たヴィンセントの
性器が潮風に晒される。
「おかげですぐしまえていい」
私は丁寧にそれをスラックスの中へ戻してあげた。
「君は、潮の味は分かるの?」
「さあ。分からないでしょうね」
ヴィンセントはデッキからゆっくり腰を上げ、軽く背を反らして伸びをした。
「そろそろ時間じゃないのかな?」
「そうですね、ではホテルへまいりましょうか、ヴィンセント」
「君は唯一俺を名で呼ぶ下僕だな、悪魔」
「貴方のご命令ですから」
「今日は潮の味の俺を味わってみるといいさ」
「おや、今日は貴方を抱いてもよろしいのですか?」
「どうしようかな」
私達は砂利の浜辺を、来た道に再び歩き出した。

海岸沿いの一等地に立つ白亜のホテル。
最上階のスイートルームへ、恭しく従業員が私達を案内した。
壁一面の窓からの海と空は、境界すら溶けあって見える。
窓際に置かれている重厚なオーク材のテーブルに、
よく冷えたシャンパンバケットとグラスがセットされていた。

2人きりになると早々にヴィンセントは麻のスーツを脱ぎ始めた。
「セバスチャン、このソファを窓に向かって置いて」
シャンパンを注ぎ終わって、私はソファを望みの場所まで動かした。
「君も、さっさと服脱いでここに座って」
全裸になってソファに座る彼にグラスを手渡すと、また命令されて忙しい。
「いい眺めだね」
シャツを脱ぎ捨てる私を見て、窓の外の海を眺めて、彼が微笑む。
シャンパンを半分ほど飲み干して、脱ぎ終わって隣に座った私にくちづけた。
「乾杯」
彼はもう一口飲むと、また私の唇にシャンパンの香りを吹き入れてきた。
「美味しい?」
「美味しいですよ」
ヴィンセントは私を押し倒し、胸の突起を舌で弄くりだした。
私の左太腿を持ち上げ、ソファの背もたれにかけさせる。
無防備に性器はヴィンセントに晒し出された。
彼は残っていたシャンパンを全て飲み込んで、すぐさま私のそれを咥えこんだ。
シャンパンと唾液と私の性器はたちまち混ざり合い、
硬くそそり立って彼の口内をいっぱいにした。

ヴィンセントは唇を離すと、己の性器を私のそれとキスさせた。
ゆるゆると擦り合わせて、挨拶させるように弄くりだす。
私は喘ぎ声のような笑い声を立てて、彼もつられて笑った。
西日がヴィンセントの髪をいっそう銀色に輝かせて眩しい。
それでも目を細めて、きらきらとした前髪をかき上げた。
彼の瞳はこの海の色より蒼くて美しい。
「ルビーみたいだ」
彼が私を見つめて囁いた。
「もっと俺をその眼で見て」
「ヴィンセント、早く私の中に来て」
彼は互いの陰茎をしごきながら、しなやかな指を侵入させて来た。
蠢く指の動きで押し寄せてくる快楽の波に合わせるように呼吸が荒くなる。
私の腰はヴィンセントを求めてはしたなくよがった。
「セバスチャン、ほら潮の味の俺を味わって」
ヴィンセントの猛ったものが私の中を荒波のように襲ってきた。
あとは、ただその波に飲み込まれていき。私は彼の腰をつかんで離さない。
ヴィンセントにすがって何度も声を上げた。
同時に精液を吐き出して、強く、長く口づけして、彼を抱きしめた。

「ほら、べたべたになってしまったよ」
私の精液がそこかしこに付着した身体を見て、彼がおかしく笑った。
「すぐきれいにして差し上げますよ」
私も起き上がって、バスルームに向かい、湯をはった。
「バスの後はルームサーヴィスを呼んでね」
「こちらで頂きますか?」
「君、レストランで食べられないんだもの」
「ああ、申し訳ございません」
「悪魔と一緒だと、俺の記憶はどんどん塗り替えられてしまうよ」
「それはなによりです」
私は、彼の鎖骨に刻み付けた薔薇色のしるしにもう一度吸いついて、
唇も重ねた。


img_1191s.jpg


翌朝チェックアウトした後、私達はひたすら崖を目指して歩いた。
緩やかな草原の上り坂を1時間ほど進んで、ようやく眼下に海を臨めた。
人影はまだまばらだった。強い潮風が髪を乱す。
彼は、とても被れないと、私にお気に入りの帽子を手渡した。
ヴィンセントは崖のふちまで寄って、しゃがんで下を覗き込んだ。
「結構高いな・・・」
彼は後ろを振り返って、立っていた私を見つめた。
「君は、俺が崖から落ちたらどうする?助けるの?」
「それはもちろん、落ちる前に助けますよ」
「まだ死なせたくない?」
「まだ死なせない」
「そう」
私は後ろから彼を抱き寄せて、崖から離した。
彼のあごを掴んで、深く口づけした。
ヴィンセントは私の背中に腕を巻きつけて、ジャケットを強く握りしめてきた。
「好きなようにすればいいさ」

まだ、貴方を放すつもりはないから安心して、ヴィンセント。


Infatuated only with ourselves (Jusqu'a la fin) 
And neither of us can think straight anymore (En plein amour )
En plein soleil

私達は互いだけに夢中(終わりまで)
どちらもこれ以上まともに想えなくて(愛に溢れて)
(太陽のもとで)

Well You and I collapsed in love
And it looks like we might have made it,
Yes, it looks like we've made it to the end

そう君と俺は愛しすぎた
もうやりつくしたって感じ
そう、終わりに向かってやっちゃったって感じ

(続く)


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解説は追記にて

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ヴィンセバ高校生物語4

*現代パラレル設定ヴィンセバ連載小説


ヴィンセバ高校生物語 4




ヴィンセントと偶然図書室前で会って一緒に帰って、告白されてから、
私達はずっと毎日一緒にバスに乗っているんだな、と改めて気付く。
今日も私達は放課後すぐのバスに乗り込んで、2階席に座る。

最初はどうしてもくっついてしまう狭さの席に落ち着かなかったが、
今となっては、なんて都合よく自然に触れ合える時間だろうと思う。
教室はもちろん、生徒が密集しているバスの中で交わせる会話は
当たり障りのないものばかりだが。

バスの中で並んで座る際、ヴィンセントはいつも窓際に座る。
「どうしていつも窓際なんです?」
「窓から景色見るの楽しいから?」
屈託のない笑顔をして、ヴィンセントの右手が私の左手に触れてくる。
手の上は互いの黒いリュックで覆っているので周りからは見えてない。
あまりごそごそとリュックは動かせないので、手を繋いだ状態で
指だけ動かす。
「ちょっと、それは・・・」
ヴィンセントはいつもくすぐるように、指をさわさわと動かしてくる。
反射的に手を離したくなるのを堪えて、ヴィンセントの指の動きを
封じ込めるようにぐっと握り返す。そうすると今度は、指はゆっくりと
撫でてきたり、ぎゅっぎゅっと握り返したりする。
そんな風にバスを降りるまで続けるので、おかげで手を離す頃には、
手のひらがすっかり汗ばんでいたりする。

「あんまり手を触っているとキスしたくなる、ね」
「私はもう貴方の手の感触をすっかり覚えてしまいましたよ」
「じゃあ目をつぶって手を握っても俺って分かるね」
「分かる、でしょうね・・・」
いつもの本屋の2階で、今日のヴィンセントは迷わずサイエンスコーナーへ
向かっていった。それから、1冊写真集らしき本を見つけてすぐページをめくった。
「ああ、これか」
「なんの本?」
「今日、サイエンス専攻している友達が言ってたんだ」
と、見せてくれたページの写真は、流星の動きの記録写真だった。
「なんて言ってたんですか?」
「今度の金曜の夜に、しし座流星群が見れるんだって」
「しし座流星群?」
「毎年この時期に見られるらしいよ?俺はあまり興味なかったから
気にしてなかったんだけど、今年は」
「・・・一緒に見に行きますか?」
「もう、何時にどこでよく見えるかも聞いておいた」
「へえ、どこなんです?」
「ああ、公園ならどこでもいいみたいだけどね、サウスパークがいいんじゃない? 」
「金曜って、もう明後日ですよね。またセントクレメンツで待ち合わせましょうか」
「うん、出る前に電話する。11時過ぎかな?」
「分かりました」
ヴィンセントは写真集を閉じて手に持ち替えた。

「セバスチャンは流星を見に行った事ある?」
「いや、ないですよ。でも今年は」
「見に行きたくなったよね、セバスチャン」
大判の写真集を掲げて顔を見られないようにして、ヴィンセントが唇を重ねてきた。
「ん・・・だめですってば」
「セバスチャン、黒いアウター着て来てね」
「?黒いのですか?どうして?」
「俺も黒いの着るから。そうしたら2人で夜一緒にいても目立たないでしょ?」
「ふふ、そうですね。黒いの着ていきますよ」
「こんな真っ白な制服で行ったらすごい事になるな」
「目立ちすぎますからね」
「おかげで頬にキスもできない」
「今キスしたじゃないですか」
「隠したもの」
「ブレザー隠れてませんよ」
「誰も見てなかったから平気」
「貴方っていつの間に周りを見てるんですか・・・」
そうして今度は本で隠さず、私の頬に口づけてきた。
・・・ほんとにもう、この人は。

金曜の夜になり、メールを受け取ったセバスチャンはバス停まで出向く。
ヴィンセントに言われた通り、黒いシャツとデニムに、黒のモッズコートを着た。
髪も黒いし、まさに黒づくめの格好になってしまった。
ゆっくりバス停に向かう道中では、普段より通りに多くの人を見た。
金曜の夜なので、パブはクラブ開催仕様になって、11時過ぎても酒を飲めて
音楽を聴ける。いつもより沢山の人だかりで、どの店も賑わっている。
バス停にも多くの人が佇んでいた。
間もなく、ヴィンセントの街から来るバスが向かってきた。
降車口近くまで行くと、やはりヴィンセントが降りてきて迷わずセバスチャンの
もとへ来た。ヴィンセントが右手を差し出してきたので反射的に握手をする。
握手をしたまま、ヴィンセントはさらにセバスチャンに近付いた。

「ちゃんと真っ黒だ」
ヴィンセントが少し目を細めて笑う。
「貴方も」
ヴィンセントもまた、グレーのチェックのシャツに、チャコールグレーのチノパン、
細身の黒いピーコートを着ていた。
「じゃあ行こうか」
手は離して、でも腕と腕はぴったりくっつく距離で、時どき、手の甲が触れ合う。
「こっちに歩いてる人結構いますけど、みな観に行くのかもしれませんね」
セントクレメンツのバス停から10分も歩けばサウスパークの入り口に着くが、
この道はバス停すぐの何本かの横道の家並みを過ぎてしまえば、何もない通りだった。
「俺達みたいなのが多いのかもね」

サウスパークは、ゆるやかな勾配に広がる、芝生と木しかないような公園で。
ラグビーのポールと、サッカーのゴールが置かれている以外は何もない。
夏場はよく音楽フェスティバルに使われている。今晩は、流星を観に来た人々で
思ったよりも混雑していた。
「これなら、学校の生徒に会ってもごまかしがきくね」
「そうですね、それに本当にこの格好なら目立たない」
公園の中に遊歩道はなく、外灯もないので暗い中での観測になる。
ヴィンセントがセバスチャンの袖をつまんで、先に歩き出した。

「どこに行くんですか?」
引っ張られながら尋ねたが、ヴィンセントは無言でどんどん公園周りに
植えられている奥の方の木々に向かって進む。誰もそばに人がいない木を
見定め、そこでようやく立ち止まった。
「うん、ここなら空もよく見えるし周りに人もいないし」
ヴィンセントが満足げにセバスチャンに微笑みかけた。手も握ってきた。
遠目からはコートに隠れて繋いだ手が見えないように腕をずらして。
「冷たい手、してる」
「貴方の手は暖かいですね」
ヴィンセントがぎゅっと手を握ってきて、自分のひんやりした指先が彼を
冷やさないか気になる。手の力を緩めてみた。が、即座に言われる。
「セバスチャンも手、握って」
強く握り合った手はやがて互いの体温を分け合って、じんわり温まってきた。

「もうそろそろですかね・・・」
0時を過ぎて、ただ立っているばかりで身体も冷えてきた。
「あれ、そうじゃない?」
ざわざわとしたざわめきが聞こえてきて、顔を上げて空を見上げてみる。
今日は雲もかかっていない夜空で、よく見えそうな気がする。
白く輝いている星が動いているのを確認できた。
「あ、見えますね・・・」
断続的に、次々と流れていく星を本当に観る事が出来た。
そういえば、迷信があった。
何か願ってみようか。それはやっぱりあれとこれか。
ヴィンセントの方を見ると、じいっと流れゆく星を見つめていた。

そのままヴィンセントの横顔を見ていたら、急にこちらを向いて、目が合った。
微かに笑みを浮かべて、それから私のうなじを抱え込んできてキスしてきた。
星を観ないで、目を瞑ってしまう。
周りには人もいないし、暗い中なら大丈夫だろうか。
ヴィンセントの舌が入り込んできて、私もヴィンセントの腰に両腕をまわして
ぐっと彼を引き寄せた。冷たく乾いていたヴィンセントの唇がどんどん
温かくしっとりとしてくる。ヴィンセントの舌を追いかける様に舌を動かしたら
彼はもっと私の舌を隅々まで撫でるように這わしてきた。ぬるっとした感触が
柔らかくて気持ちよくなってきて、下肢まで反応してきてしまった。
デニムとアウターの厚みで気付かれないと思うけど、唇を離した。

「せっかく来たのに、星見ないんですか?」
ヴィンセントを抱きしめたまま尋ねた。
「君と星をいっぺんに見たい」
またヴィンセントが顔を寄せて、唇を重ねてきた。
「それじゃいっぺんに見えないでしょう?」
唇をよせたまま、私はまた尋ねた。
「セバスチャンと星をいっぺんに感じたい」
「唇じゃダメです」
「じゃあここならいいでしょ」
ヴィンセントが私の肩にまわした腕に力を入れて、私をかがませた。
少しばかり中腰のままの姿勢になって、ヴィンセントのやわらかい唇が
私の首筋に触れてきてくすぐったい。
「ほら、これなら俺も君も星が観えるし感じあう事もできる」
次々と流れてくる星をヴィンセントとこうして観てるなんて。
「セ・バ・ス・チ・ャ・ン。セバスチャン」
ヴィンセントは唇をゆっくり首筋に這わせながら私の名を呼びかけてくる。
うなじに感じるヴィンセントの唇と吐息で、
体の中の熱がじんじんと上がってくる感覚を止められない。


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「セバスチャン。キスして?」 Kiss me, Sebastian ?

私はヴィンセントに勢いよく口づけて、自分から舌を押し入れた。
ヴィンセントの腕が私の背中と腰にまわってきて、身体が引き寄せられた。
私も、ヴィンセントの腰をぐっと抱きしめた。
お互いのモノがあたってくるのが、アウター越しでも分かった。

結局私達は星を観てるのか、キスしに来たのか分からない位だったけれど、
流星が見えなくなるまで、そんな事を繰り返していた。

ヴィンセントとキスする度に、どんどん彼への気持ちが、体温ごと高まっている
気がする。外で、こんなにたくさんキスする自分など今まで想像もしなかった。
これは、ヴィンセントだから?
比べられる人間がいないから分からないけど、多分そうなのだろうと思う。

やがて公園から人が消えていき、私達もモレルアヴェニューに出るゲートへ
歩き出した。ここから帰れば、家まで5分ほどで着く。

私達は腕を巻きつけて、指と指をしっかり絡みあわせて歩いた。
「セバスチャン、願い事したの?」
「しましたよ」
「じゃあ同じ事、願ったね」
「そうですよ」
自然に唇を触れ合わせて、くすっと笑いあった。

自宅にはあっという間に到着してしまって、私達はまた抱擁した。
唇を吸いつけて、舌を絡ませあって、腰を引き寄せて。
少し唇を離しても、またすぐ重ねて、お互いの唇を舐めたりついばんだりして。
なかなか終わらす事ができなかった。

「じゃあ、おやすみセバスチャン」
ヴィンセントのまなざしと甘い声が優しく響いてきた。
「ヴィンセント、帰り道、気をつけて」
つい、なんだか女々しい言葉で返してしまって恥ずかしくなった。
「ははっ大丈夫だよ、すぐナイトバスつかまるから」
もう一度、軽く唇を重ねて、私はヴィンセントの後姿が遠くなるまで見守った。

夜空を見上げたら、もういつもの星が輝いているばかりだったけれど、
今晩ヴィンセントと観た流星とキスはずっと忘れないと思った。
それできっとヴィンセントは、自分以上にそう想ってくれている、はず、とも。


(続く)

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ヴィンセバ高校生物語3

*現代パラレル設定ヴィンセバ連載小説




ヴィンセバ高校生物語3




告白から始まった一週間がようやく金曜になった。
今日も通学バスの終点で降り、2人はバス通りの交差点のすぐそばの
本屋へ入る。そこの2階へ登り、一通りフロアを見て、誰もいない書架へ
向かう。2人は適当に本を取り出し、無造作にページをめくりながら会話した。

「明日、午後一緒に出かけない?何か用ある?」
「明日?・・・別にいいですよ。どこに出かけます?」
「久しぶりにカウリーに行きたい。君のとこから近いよね」
「ええ、近いですよ。どこで待ち合わせますか?」
「じゃあセント・クレメンツの停留所まで来て?昼飯食べたら出るから。
 バス乗ったらメールする」
「分かりました、そこまで行きますよ」

ヴィンセントが本を戻し、セバスチャンの頬にすばやくキスをする。
セバスチャンも、そっと頬を傾けてヴィンセントの唇を受け入れる。
こうして、この本屋で別れ際にキスするのがお約束のようになっていた。
さすがに通学バスを降りてすぐ、他の生徒がいる前で挨拶でもキスが
出来る訳がない。あっという間に噂に登ってしまうだろう。最初はヴィンセントに
本屋の奥に連れられて何をされるのかと思ったが、彼なりに楽しんで
気を遣っているのが分かった。

土曜になり、昼食をすましたヴィンセントはバスに乗り込む。座席について
セバスチャンにメールを送った後はぼんやりと景色に目をやっていた。
バスがセンターの賑わった通りを過ぎると、間もなく三叉路になる
セント・クレメンツにさしかかる。ヴィンセントはバスのフロントガラスから
セバスチャンの姿があるか確かめた。

バス停に停まり、タップを降りるとすぐセバスチャンはヴィンセントを
出迎えた。セバスチャンの顔を見てヴィンセントが嬉しそうに笑った。
「君が出迎えてくれるだけで、いつもの風景が変わるんだね」
会った早々にそんな事を言われて、セバスチャンは言葉がつまった。
「君は背が高いから遠くからでもすぐ見えたよ」
「分かりますか?」
「すぐ見えて安心した。いなかったら嫌だったからね」
「うちはここから歩いて5分位ですからね、メール見てすぐ来ましたよ」
「それじゃあ、とりあえずカウリーに入るか」

セント・クレメンツから3つに別れる道の真ん中のカウリー通りに向かって
2人は歩きだした。センターのハイストリートと違って、このカウリー通りには
ボディピアスの店やら、レコードショップ、ライブ演奏が聴けるパブや
もちろんインディーズ系バンドが毎晩出演するヴェニューが数軒立ち並んでいる。

「ねぇ、ここ寄っていい?」
ヴィンセント達は、通りに入ってすぐのレコードショップに立ち寄った。
思い思いにそれぞれはCDやらレコードやらを手に取っては、しばし没頭していた。
ヴィンセントは何枚かインディーズバンドのCDを選んで買っていた。それから
カウンター脇に置いてある、オックスフォードの音楽シーンを扱ったフリーペーパーを
取って、セバスチャンに近寄った。
「君は何か買わないの?」
「ああ、今日はいいです、先週いろいろ買ったので」
「家から歩いて行けるからすぐ来れていいね、セバスチャンは。俺はやっぱりバスに
わざわざ乗って来なきゃいけないからね」
ショップを出て、また2人はぶらぶらと店を覗いては歩いていった。

通り沿いの店が途絶えて家ばかりになる頃、道を渡って今度は折り返し反対側の
ショップを見てまわった。途中にデリを見つけたヴィンセントがセバスチャンを
休憩に誘った。フランス系のその店には、ウインドウ近くにおいしそうなプティ・ガトーや
ホールケーキがかわいらしく並べられている。カウンターの奥には6卓ほどの
テーブルが並んでおり、その場で買ったものを食べる事ができた。
「君は何頼む?俺買っておくから先に座ってていいよ」
セバスチャンはガラスのカウンターの中の商品をさーっとチェックした。
「ああ、私はカプチーノだけでいいです」
「そう?何も食べなくていいの?じゃあ買っておくから座ってて」
セバスチャンは空いていた奥の角のテーブルに座って、注文しているヴィンセントを
見ていた。ヴィンセントはトレーに載ったカップとケーキをこぼさないように持って
やって来た。セバスチャンにカプチーノの渡して、トレーは自分の側に置いた。

「ふふ、またクリーム入りなんですね」
ホイップクリームが乗ったラテを見て、セバスチャンが笑う。
「言ったでしょ、俺はこれが好き。あとここのケーキも」
「ガトー・ショコラですか?」
「そう。ここのはしつこくないけどチョコが苦くてとろけて大好き」
ケーキの細まった部分をフォークで割って、ヴィンセントが口に含む。
「ひと口食べる?」
フォークに一かけら乗せて、セバスチャンの前に差し出した。
「ひと口なら」
セバスチャンは少しだけ口を開けて、ヴィンセントはそっと口に運んだ。
唇でフォークごと挟んでケーキを口に入れると、ヴィンセントが微笑む。
「ね、甘すぎないで美味いでしょ?」
「そうですね、これなら食べられる」
「もっと食べる?」
「いえ、いいですよ。そんなにたくさんは食べられない」
「君ってほんと甘いの食べないんだね」
「まぁ、貴方ほどは食べられないでしょうね」
「美味いのに」

ヴィンセントは先ほどのレコードショップでもらったフリーペーパーを出し、
パラパラとページをめくった。
「あ、このバンド今度やるんだ。ねぇ、一緒に観に行かない?そこの
Zodiacでやるんだけど」
「いいですよ。どんなバンドなんですか?」
「ちょっとネオサイケっぽいギターバンドなんだけど、この前のシングルが
結構よかったから。○○○っていうんだけど知ってる?」
「それなら私もシングル持っているかも」
「ほんと?じゃあ行こうよ、これ!」
これまでは時たまふらっと1人でライブは観に行ってたので、誰かと一緒は
初めてだった。このバンドを特別注目していた訳ではないけれど、
ヴィンセントと行くのが楽しみになった。

「ねぇ、君の家ってここからどれ位?」
ケーキを食べ終えたヴィンセントが唐突にきいてきた。
「え、・・・歩いて10分位ですかね」
「そう」
ヴィンセントがじっと見つめてくる。口角は緩やかに上がっている。
「・・・来ますか?家に」
「いいの?」
ああも確信犯的にやられて、断りようがない。
部屋に招いたらどうなるか・・・。少しだけ想像して、やめた。

「あ、カプチーノ代」
ジーンズのポケットから小銭を取り出そうとすると、間髪入れずに断られた。
「いいよ、俺のおごり。だってデートでしょ」
デート、そうですよね・・・。しかし、この場合、私はいつも
彼女のような立場なのだろうかと、ふと思う。男同士で付き合うと
どう変わるのだろう?まだセバスチャンは分からなかった。
2人は食べ終えて、席を立った。

それからまたカウリー通りを歩き、件のライブハウスを通り過ぎて
角を左に曲がれば、家のある通りになる。
午後のこの時間、まだ両親は出かけたまま帰ってきていない。
セバスチャンは、ヴィンセントをリビングのソファで待たせて
紅茶を淹れた。リビングのテーブルにカップを置こうとすると、
「君の部屋で飲みたい」
と言うので、そのままカップを持って階段を登った。

自室は、ベッドとデスクに本棚、ワードローブがありきたりに配置された
部屋なのだが、ヴィンセントは興味深く見まわしている。
「本棚見てもいい?」
ジロジロと見られるのは恥ずかしかったが、どうぞ、とだけ言って
紅茶のカップはデスクに並べて置いた。
ヴィンセントは、中腰になって本棚のCDや本を一通り見ていた。
「ねぇ、俺の持ってないやつ、借りてもいい?」
「いいですよ」
「俺もなにか持っていくからさ」
「ああ、いいですね」

紅茶は砂糖とミルクがたっぷり入ったアッサムティーで、
ヴィンセントはそれを美味しそうにすすった。
「美味いね」
「そう?よかった」
カップをまたデスクに戻すと、ヴィンセントは私の腕をそっと掴んで、
私をベッドに座らせた。

「セバスチャン、キスしていい?」
ヴィンセントの唇が、ゆっくり近付いてセバスチャンの唇に触れる。
軽く、掠るように触れるので唇の先端にだけヴィンセントを感じて
くすぐったくなる。セバスチャンの唇がヴィンセントを受けれるので、
その唇はもう少しだけ強く重なってきた。ヴィンセントの柔らかく
しっとりした唇の感触がよく伝わってくる。心がどこかに浮かんで
飛んでいきそうな感覚に襲われた。ヴィンセントの唇が一瞬、離れる。
それからまた、先ほどよりほんの少し深くしっかりと唇が触れてきて、
セバスチャンの唇を捕らえる。ヴィンセントは顔の角度を少しずつ
変えて唇をずらしてセバスチャンの唇を擦ったり、撫でるように合わせる。


yngvs03_20110921182557.jpg


ずいぶん長い間、唇を重ねた気がしたが、ヴィンセントは舌を
入れてこなかった。
「セバスチャン」
ヴィンセントはセバスチャンの両頬をそっと抱えて、前髪からのぞく
蒼い瞳が少しだけ暗く見えた。
「嫌じゃない?」
嫌かどうか聞くにしては、かなりキスされてしまいましたが・・・。
セバスチャンは黙って首をちいさく横に振った。
ヴィンセントの手のひらの弾力がやわらかく頬に伝わって温かい。
そっと、自分の手のひらをヴィンセントの手の甲に重ねてみた。
「セバスチャンの手はひんやりする」
「冷たい?」
「うん・・・」
ヴィンセントの唇が近付いたので、また瞼を閉じた。ヴィンセントの舌が
歯にあたってきたので、少しだけ口を開いた。ゆっくりと私の舌を探して、
触れてきた。初めて感じる、人の舌の感触だった。
どうすればいいのだろう、舌を動かすのか?
ヴィンセントはそんな自分の舌を撫でるように、転がすように触れてきた。
その動きにあわせて自分も舌をヴィンセントに触れてみた。

なんだか意識が飛んでいきそうになる、浮遊感。
何年か前にキスした女の子とは、こんな感じになってただろうか?
思い出せないけど、もうヴィンセントのキスで全てかき消されたような。
ふわふわとした気持ちの中で、舌の感触だけがはっきりして、お互い離れない。
ヴィンセントの吐息が熱く、短くなっているのが分かる。自分もきっとそうだ。

もっとこのまま唇を重ねていたいと思ったけれど、階下でドアの音が聞こえた。
私達はようやく離れたけれど、唇がすっかり唾液で濡れている。
ヴィンセントの親指が、ゆっくりと私の唇を撫でてきてそれを拭っていった。
そしてその親指を自分の唇にあてて同じように撫でている。
じっと、その親指の動きをもう少し見つめていたかったが、親が帰ってきてしまった。

「じゃあ、俺は帰ろうかな」
「あの、たぶん母が帰ってきたと思うけど。いいですか?」
「うん、ちゃんとご挨拶はしないとね」
私が一瞬、口ごもると、ヴィンセントがにこっと笑って答えた。
「もちろん、普通に友達として。君を困らせる真似なんかしないよ?」
ヴィンセントは敏くて反応に困る時もあるが、安心する。

私はヴィンセントを玄関まで誘導して、リビングにいる母親に声をかけた。
ヴィンセントがいつものように穏やかな口調でそつなく挨拶をする。
それから家を出て、イフリー通りのバス停まで歩いていった。
「優しそうなお母さんだね。それに君によく似ている」
「そうですかね・・・」
「今度は、家においでよ?」
「ええ、次は貴方の家に行きたいですね」
しばらくするとヴィンセントの乗るバスが近付いてきた。
ヴィンセントは、さっと私の頬にキスをして、手を振ってバスに乗り込んだ。
バスがセントクレメンツに向かって見えなくなるまで私は見送った。
唇にそっと指をあてると、先ほどの感覚が蘇った気になった。
それを思い出すだけで、また意識がどこかに浮いてしまう感覚になってしまった。

自宅に戻ると、母親が声をかけてきた。
「さっきのヴィンセントは、いい子そうね。きれいな言葉とアクセントだったわね」
母はヴィンセントを気に入ったようだ。
これなら、これからも家に呼んでも大丈夫そうだ。


(続く)

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3話のテーマソング★『はじめてのチュウ』w


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ふしだらセバスドール画像集その2

セバスドールふしだらポーズ集、第2弾は裸ネクタイ、
裸エプロン、腕まくりキッチンスタイルなどです。

またしても思いっきりR-18なドール画像ですので
苦手な方はご覧にならないで下さいね。

では追記からどうぞ~。

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| セバスドール画像 | 00:51 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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Voice etude

ヴィンセバ短編小説(R-18)


*現代パラレル設定



Voice etude


「ただいま」
最後の仕事を終え帰宅したヴィンセントはいつもの通り
無造作に鍵を開け、まっすぐリビングへ向かう。
「・・・はぁ・・・っん・・・っんっ・・・ああ・・・っ 」
リビングの奥から恋人の声が聞こえてくる。
まさか・・・だよな?
ヴィンセントは足音を立てずリビングのドアをゆっくり開く。
目に入ったのは、床に座っている恋人の姿ひとりきりだった。
ずっと潜めていた息を思い切り吐いてヴィンセントは背後から
恋人に声をかけた。
「なにやってるの、セバスチャン」
恋人のセバスチャンは、ひとり台本片手に声出しの練習をしていた。
「え・・・、あ、ヴィンセント!おかえり」
「次の収録の練習?」
「あ・・・、うん、明日の・・・」
セバスチャンは喘ぎ声の練習を聞かれてバツが悪そうに台本をしまって
前髪をかき上げる。
「ああ、これか。・・・君の役、受けなの?」
「ええ、初めての仕事ですから、そういうの」
「だから練習してたのか」
「・・・聞こえてた?」
「浮気してるのかと思った」
ヴィンセントは背後からセバスチャンを抱きしめて耳元にキスをした。
「・・・そんなに上手く聞こえてました?それなら、いいですよね?」
「攻めは誰がやるの?」
「えっと、クロードさん」
「クロード? あいつか・・・」
ヴィンセントは不機嫌につぶやいて、セバスチャンを床に押し倒した。
「なに・・・?」
セバスチャンに跨り、ガチャガチャとベルトを緩めて、自身を取り出して
セバスチャンの口元に押し付けた。
「ほら、俺のでもっと練習しなよ。もっと声出さないとダメだな」
「んっ・・・ヴィンセント・・・」
「ほら、もっとビチャビチャと音立てて舐めあげて」
「あっ・・・ん・・・」
セバスチャンは、意識的に唾液の音を立てるようにして舌を動かし始めた。
ヴィンセントのものがどんどん勃ちあがる。
「ん・・・もっと、短く吐息もらして舐めて」
「はぁっ・・・ん、んっ・・・あっ・・・」
セバスチャンも声を上げることで、いつもより興奮を覚えながら激しく
ヴィンセントのものを咥え、手で擦りながらグチュグチュと唇を動かす。
「あっ・・・出る・・・飲み込む時も・・・声・・・出して」
ヴィンセントはイきそうになりながらも、恋人にしっかり指示を出す。
「んっ・・・んんっ・・・!」
ゴクリと喉を鳴らしてヴィンセントの精液を飲み込み、はぁ・・・っと息をついた。

「そう、その調子・・・。忘れるなよ、今の感覚」
ヴィンセントはセバスチャンに覆い被さって、唇を重ねた。
「今度は、俺が出してあげる。声、いっぱい出してごらん?」
セバスチャンの股間をまさぐりながら、巧みに勃ちあがってるセバスチャンの
ものを取り出し、手でしごき出した。
「あ・・・ん、ヴィンセント・・・」
ヴィンセントが舌で先端や裏筋をべろべろと舐め始める。
「ああっ・・・ん!ん・・・っはぁっあ・・・ん」
先ほどから意識的に声を上げていたせいか、今も自然に声が高まって出る。
「ん・・・、そう・・・その調子・・・」
「あっああ・・・んっ、もう・・・」
「だめ、もっと声出して・・・」
ヴィンセントがさらにグチュグチュと音を立ててセバスチャンのものを唇で
激しくしごきながら、指を中に差し込んだ。
「ああ・・・・だめっ、ヴィンセント・・・いや、入れないで・・・」
「こうした方がもっと声出るでしょ・・・」
「はぁ・・・っん・・・あっ・・・あ・・・ん、もう、だめ、で・・・る・・・」
「・・・イっていいよ」
ヴィンセントにグイグイとしごかれ、セバスチャンも口内で達した。
「あっ・・・、ん・・・、ヴィンセント・・・」
ヴィンセントも喉を鳴らして飲み込んで、またセバスチャンにキスをする。
「ん・・・っ」
「こっちは、また後で練習ね」
ヴィンセントがセバスチャンの中に入れたままの指をクイっと動かして笑う。
「あっ・・・ん!」

「・・・仕事とはいえ、そんな声、実際出されたら俺も妬けるな」
「ヴィンセント・・・」
「明日、どこのスタジオで何時から?」
「Aスタジオで午後4時から」
「Aスタか・・・、なら行けるかも」
「え? 」
「俺も見学する」
「貴方に来られたら、やり辛い・・・」
「心配なんだよ、君が」
「貴方がいたら、勃っちゃうかも・・・」
セバスチャンが目を伏せてつぶやいた。ヴィンセントがぎゅっと抱きしめる。
「いいんだ、俺を思い出して声出して?」

声優の先輩でもあるヴィンセントと付き合いだして1年。まだ声優としての
キャリアを積み始めたばかりのセバスチャンは、初めてBLドラマCDの収録の
仕事を受けたのだった。まさか本当に恋人の事を思い出しながら喘ぎ声を
出す仕事をするとは思わなかった展開だった。

恋人で声優の先輩であるヴィンセントの出す吐息や唾液の音は、本当に
官能的に耳に響いてきた。仕事で、あんな風に声出せるか不安があったが、
やはりここは恋人の言う通り、ヴィンセントとの睦みあいを思い出しながら
声を出せばいいんだろうな、と思った。

翌日、収録のリハーサルを終え、いよいよ本番テイク収録の準備を始める頃、
本当にヴィンセントがスタジオに現れた。声優キャリアのあるヴィンセントなので
今回の共演キャストや収録スタッフとはほぼ面識があるようで、次々と挨拶を
交わしながらセバスチャンとようやく目を合わせた。
ヴィンセントが優しく微笑んで、セバスチャンは少し緊張がほどけた。
「ヴィンセントさん、今日はここで収録ですか?」
今日の収録の攻め役のクロードが、ヴィンセントに声をかけた。
「いや、近くのCスタで収録帰り。後輩の仕事振りをみようと思ってね」
「ああ、セバスチャンですか。彼、今日が初めての仕事って言ってましたもんね」
「そうそう。うまくリードしてやってね?」
「はははっ!結構上手にやってますよ、彼」
「そう?」
ヴィンセントがまた思わせぶりにセバスチャンを見つめて微かに笑いかけた。

まずは前半部分の収録を始めていく。
セバスチャンは、ガラス越しの音響ルームの壁際に座っているヴィンセントを
視界の隅に捕らえながら、順調に進めていった。
最初の何回かの絡みのシーンも、昨日の声を再現するかのように出していった。
少し下半身が反応し始めてしまったが、さすがに周りに大勢いるスタジオ内なので
スタッフに目をやる事で、どうにかそれ以上大きくなるのは防ぐことができた。

なんとか前半部分の本番テイクを撮り終え、いったん休憩に入るため
セバスチャンは収録ブースから出て行った。するとヴィンセントが待ち構えたように
やってきて、
「お疲れ、セバスチャン。隣のカフェでおごってやるよ」
と、さっさとセバスチャンを地下の収録ルームから連れ出した。
階段を登り、外に出るのかと思うとヴィンセントはそのままスタジオの2階へ
向かってさらに階段を登り始めた。
「あれ、隣のカフェに行くんじゃ?」
「いいから上に行こう」
ヴィンセントは2階にある、控え室兼、仮眠ルームといえる3畳分の小さな部屋に
向かって、さっとセバスチャンを押し込んだ。
そこは、本当に畳の上に毛布と小さな折り畳みテーブルが置いてあるだけの
簡素な部屋で、ヴィンセントはざっと靴を脱ぎ、部屋に上がりこむ。
セバスチャンもつられて靴を脱いで、そっとドアを閉めて施錠した。
「どうしたんですか?」
「勝手知ったるスタジオだからね」
「ここだとコーヒー飲めませんよ?」
ポットも何も置いてはいない。ヴィンセントは、セバスチャンを四つん這いにさせて
ベルトを緩め、ボトムスを膝までずり落とした。
「ちょっと・・・なにを・・・」
「ダメ、もう我慢できない、あんな声聞いて」
「え、ちょっと・・・」
ヴィンセントはジャケットのポケットから小瓶を取り出して、その液体を
ばしゃばしゃと指先に振りかけ始めた。
「まさか、ここで・・・?って・・・あっ・・・ん!」
ぬるりとした指先がセバスチャンの中に押し入ってきてぐりぐりと
性感帯のあるポイントに指先を動かす。
「あっ・・・ん、ダメですってば・・・!」
「これから、掘られるシーンの収録でしょ・・・、練習だって」
「そんな・・・、ここじゃ、声、出せないっ・・・ん!」
「ははっ、それもそうか。でも収録直前まで感覚を思い出せるでしょ・・・?」
「それは、そうですけ・・・ど、うっ・・・ん・・・」
「もう、挿れられそう・・・、ほら・・・感じて、俺を」
「あっ・・・んんっ・・・ん・・・!」
声を立てたい衝動を懸命に堪えて、ヴィンセントの腰の打ちつけるリズムと
同じように吐息を短く漏らす。
「セバスチャン、分かる・・・?そう、その間隔で喘いで」
ヴィンセントが、セバスチャンの腰をぐっと掴んでさらに激しく腰を動かし
声を押し殺して苦しそうに喘ぐ恋人にあわせて、グチュグチュと音を立てる。
「ヴィンセント・・・、イっちゃう、もう・・・」
「待って、俺が口の中で受け止めてあげるから」
ヴィンセントがずるりと自身を引き抜いて、先端が濡れそぼっている
猛々しいセバスチャンのものを咥えると、すぐイった。
「俺のも、咥えて・・・」
ひくひくと痙攣しているセバスチャンのものを優しく握りながら、今度は
自分のものをセバスチャンにあてがう。舌に絡めとられて、ヴィンセントも
すぐ口の奥に射精した。

「・・・もう、ヴィンセントったら・・・、そんなもの持ってきて・・・」
「きっと、こうなると思って持ってきた」
2人はすばやく陰茎を拭いて、身支度を整えた。
そして、何事もなかったかのように、また収録ブースへ戻って行った。


「セバスチャン、上手かったよ今日の喘ぎ声」
収録を終え家路に着いた2人はリビングのソファに腰掛けて一息ついた。
「そりゃ、貴方の言う通り直前まであんな事したら・・・」
「でも、これで感覚つかめたでしょ?」
「そうですけど・・・。もう、貴方って先輩のアドバイスであんな事を?それとも」
ヴィンセントがセバスチャンの唇を塞いで舌を押し入れた。
「んっ・・・」
「恋人として、だって。でも先輩の特権で、ね」
「もう・・・!」
「それより、君は俺のBLCD、聴いた事あったっけ?」
「え・・・、・・・ないです」
「どうして?」
「だって・・・、嫉妬してしまうから」
プイッと顔を背けてセバスチャンが言うと、ヴィンセントが笑いながら立ち上がって
CDラックの中から、自分の作品を探し取り出した。
「まぁ、いいから聴いてみなよ。これは、俺の最新作」
さっさとデッキに入れて再生させるので、セバスチャンは不承不承聞き出した。
ヴィンセントは、この業界ですでに中堅なので、この手の仕事では攻め役だった。

「あ、この声・・・」
「ほら、君なら分かるだろ?」
ヴィンセントが得意げに答える。
「私と、している時の声そっくり」
「俺だって、セバスチャンのこと思い出して声出してるんだから」
「ヴィンセント・・・」
「だから、君も俺の事思い出して声出せばいいのさ」
「・・・でも、やっぱり貴方のCD聴けない」
「どうして?」
ヴィンセントが怪訝そうにセバスチャンの顔を覗く。
「・・・だって独りでこれ聴いたら、自分で処理しなきゃいけなくなる。そんなの嫌だ。
貴方に出して欲しい、いつも。・・・だから、聴けないです」

ヴィンセントが、ぎゅっとセバスチャンを強く抱きしめて2人はまたソファに沈んだ。
CDの声なのだか、本当の声なのだか分からない吐息を出し始めていくのだった。



END


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解説は追記にて

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